Yona’s blog

思いついたらなんか書く

窓全開の換気は寒すぎるので少し締めたくなったので、窓はどれぐらい開いていれば十分なのか考えてみた

結論から先に言うとこの記事は自分のしくじりの記録です

この記事における計算はファンタジーです。計算結果に書いてあることを実行してはいけません。

感染症対策は厚生労働省が出している案内を参考にしましょう。 下手な小細工を打つよりも、手洗い・うがい・マスクを徹底し、厚生労働省の案内に従いましょう。それが一番科学的で実績・根拠が共にある手法です。

医者のふりをしたコメンテーターや陰謀論者の言うことも、この記事同様にファンタジーだと受け止めましょう。 同じく、根拠の薄い「科学ごっこ遊び」な商品の利用を止めましょう。

以下、しくじり記録です。

Cウイルスがすごいらしい。Iウイルスなんてめじゃないぐらい。

近年はウイルスの感染率の高まりから、3密を回避すべくなるべくテレワークを活用したりする会社が増えてるそうですね。詳しくは知らないんですけど。 厚生労働省日本医師会からもいろんなお達しが出ており、とにかく換気をしてウイルスを室内から追い出そう!というお話らしいです。

換気量には色々言われている状況ですが、一部には冬は寒い季節という事実を無視して「とにかく窓を全開だ!」とか「30分に一回窓を全開にしよう!」とか言い出す人もいるようです。 これでは「寒くて風邪を引き基礎疾患からコロナになるか」もしくは「換気が悪くなってコロナになるか」の二択を迫られてしまいます。

せめて寒くない程度に換気が保てる良い方法はないか自分なりに考えてみました。

風邪は万病の元

この章タイトルのは多くの人が知っている健康に関することわざではないでしょうか?「万病」の中にはきっとCウイルスによる風邪症候群も含まれていることでしょう(単なる風邪、などとは言いませんがCウイルスによる症状は風邪症候群の一種だとは思います)。

ここではCウイルス対策として、冬に風邪をひかないための換気方法について考えていきたいと思います。 そもそも、なぜ冬に風邪が多くなるのかを調べます。名城大学薬学部薬学科の平松教授の公演記録身近なくすりとの上手なつきあい方[1]を参照すると、次のように書いています。(こういう文を個人のブログに丸々コピペするのってどうなんでしょうね。苦し紛れに参考文献を示してますが……。)

  1. 一般にウイルスは,低温,低湿度ほど,つまり寒い季節の方が長く生存する.
  2. 冬は,窓を閉め切り,換気も不十分になりがち. そこに集まった人が,空気中の病原体を吸い込んで感染する機会が増す.
  3. 寒さにより,呼吸器粘膜の抵抗力が低下する.

寒いからウイルスが元気!的なことだけかと思いきや2.についてはすごいですね。感染症対策の3密について10年前に触れられています。医学者の間ではきっと常識なんでしょうね、恐れ入ります。 3密についてはともかく、1.では冬という季節がウイルスにとって都合の良い環境であること、3.ではヒトの呼吸器粘膜は冬という季節に弱いことが読み取れます。 この2つが組み合わさることで最悪に見える構図ができあがるわけですね。 窓を開けて換気量を設けつつも、暖房設備や加湿設備を併用すると良いことが伺えます。

窓を開けて換気すること自体は良いことそうですが、寒くて免疫力が下がることで風邪を引く可能性も伺えます。 つまり人類は「窓を開けないと(空間に浮遊している)ウイルスに感染してしまう」が、「寒くてもウイルスに感染する」「湿度が低くてもウイルスに感染する」というジレンマに悩まされているわけです。 この相反する2つをどうにか満たすべく、「十分な換気量が保てて」「湿度と室温が下がりすぎない」窓の開け方を考案します。

今回着目した条件は、「>=30m3/h/人を満たすこと」

厚生労働省のパンフレット(https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000698848.pdf)によると一人あたり毎事30m3の換気量が望ましいとあります。この数値は必要換気量と呼ばれ、ビル換気法における室内の二酸化炭素濃度を基準にした数値です(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000618969.pdf)。二酸化炭素濃度が高いということはその空間は換気されておらず、吐いた息などが長時間その空間に停滞していることを示すのだと思います。

これを満たすには30分に一回以上窓を全開にする手法があるそうですが、30分に一回も窓を開け締めするのは面倒くさいです。かといって、常に換気をするために新たに換気扇を設置するにはお金がかかるかと思います(具体的な施工費は各人に計算を任せます)。どうにかして今ある設備(窓)だけで十分な換気量を保つため、自分は窓を少しだけずっと開ける手法を提案します。 窓を全開にすると条件は満たせますが、もう少し暖かく「一人あたり毎事30m3の換気」を満たす窓の開け方を考えます

本題の計算

満たすべき要件は「30[m3/h/人]」です。この次元の物理量を計算するのに必要な物理量を考えます。自分は次の3つを組み合わせることで計算できると考えました。

  • 風速 v[m/s]
  • 窓を開放した面積 S[m2]
  • その空間にいる人数 n[人] (〇〇個は無次元量なので適当にnとしました)

上記3つを組み合わせて数式にすると次のような不等式になります。

  30m^3 \leq vS / n 

では、以下計算です。

窓を開ける大きさは[cm]単位なので、30[m3]を[cm3]に変換する

 30[m^3\ / h / 人 ] = 30000000 [cm^3 / h / 人 ] 

気象庁の風速は[m/s]で与えられるので、30000000[cm3/h]を[cm3/s]に変換する

 30000000 [cm^3 / h / 人 ] \div 3600 [ s / h] = 8333.333 \dots [cm^3 / s / 人 ] 

計算を簡単にするため風速は1[m/s] = 100[cm/s]とすると、

 8333.333 \dots [cm^3 / s /人 ] \div 100 [cm / s] = 83.\dot{3} [cm^2 / 人 ] 

となり、風速が1[m/s]のときに一人あたりの開放すべき窓の面積が83[cm]以上であることが求まります。

窓の大きさや窓の開き方にもよりますが、縦が1mの引違い式の窓だと仮定すると、

 83.\dot{3} [cm^2 / 人] \div 100 [cm] = 0.8\dot{3} [cm / 人] 

となるので、0.83cm開ければ良いことがわかります。ちなみのこの数字は一人あたりの数値なので その空間に4人いたらその4倍の2.6[cm]以上が開けるべき窓の大きさになります。

(雑に安全率とかマージンとかをかけて、一人あたり1.66cmとか1.16cmとかがより現実的(?)ですかね)

長々話しましたが、ようやくタイトル回収です。序章に結論とありましたが、こんなに計算した数値を後ろに書いたのは色々遠慮した結果です。


現実で実行するにはあまりにも浅慮

この計算結果(0.83 [cm / 人])は窓の反対側が開放されている空間でなおかつ遮蔽物(人間含む)が存在せず、窓(部屋)に対して垂直に風が吹いている条件のもと成り立つ計算です。

現実では反対側の窓の設置位置などの条件から生じる風通しの良さは場所によって異なりますし、床面積あたりの人数も考慮していません(ギチギチに詰まっていると使えない)。そもそも人間の存在を一切考慮していないので、全く役に立たない計算だったとさえ言えます。

条件として用いた30[m3 / h / 人]も空間の二酸化炭素濃度を基準にしていますので、二酸化炭素濃度計とサーキュレーターを組み合わせて排気量の確認と確保を行うほうが現実的です。 今回求めた83[cm2 / 人 ]は「寒くない程度に窓を開ける」という適当な前提です。自己責任だとしても安易に用いられるべき数値ではありません。

じゃあ感染症対策は何をしたら良いの

寒波もやってきている冬の季節に窓を開けると、寒いし乾燥するしで少しは締めたいものです。しかし窓の開放を絞ると、どう考えても全開にするよりは感染リスクは上がるはずです。 寒いのは自分も嫌なので、もし窓を開ける面積をすこし絞ったとして、自分たちにできる感染症対策は何でしょうか。

結局のところ、厚生労働省が喚起する次のことが大事です。

  1. マスクを付けて咳エチケットを心がける
  2. こまめに手を洗う
  3. 3密(密接・密集・密閉)を避ける

3密を避けるためには次のことを心がけましょう

  1. 人が多く集まる場所に出かけない
  2. 大人数での会食を避ける
  3. 換気の悪い場所の利用を控える

結局何がしたかったのか

自分は身近な人が何も考えずに窓を全開にすることによる寒さに耐えられず、カッとなって計算した結果を得意げにブログに公開しようとしました。 根拠も薄いですし参考にされた場合責任も取れないので、正直公開するか迷いました。また、自身が悪だと認識している「科学ごっこ遊び」の片棒を担ぐような真似を流布しようとするのもどうかと思いました。でも、変な計算をしたというネタはブログにしたいのが正直なところです。

今回の落とし所として、「変な小細工をするよりも厚生労働省の情報を見たほうがよっぽど役に立つ」ということは伝えた方が良い、となったのがこの記事の公開理由です。 こうして自分が変なことをしてコケた経緯をブログとして公開することにしましたので、皆さんも是非変なことしないで厚生労働省に従いましょう。

失敗に終わったけど計算はしてて楽しかったのでその感想

単位時間あたりの流量[m3/s]は断面積[m2]と流速[m/2]の積で表せるという、流体力学での流量や電磁気学における電流の式にも出てくる「流れ」を計算するときに普遍的な[要出典]考え方が出てきました。今回考えていることは流体力学に基づく高度な計算だった? 学生の頃割と見た数式が出てきてちょっと興奮しました。

参考文献

  1. 風邪パンフレット, 身近なくすりとの上手なつきあい方, 講義・研究室セミナー, Masayuki's Home Page, 名城大学薬学部薬学科 平松正行 http://www-yaku.meijo-u.ac.jp/Research/Laboratory/chem_pharm/mhiramt/:embed:cite, (2021/1/10参照)